イギリスのソーシャルサービス(役所の社会福祉課)のOTとして働いていると、ケアホームを訪問する事もよくあります。
OTのアセスメントを依頼してくるのは、ケアマネージャーやケアラー、クライアントの家族などなど。
一番多いのは、ケアラーが介護しきれない!ハンドリングが難しい!というクライアントがいる場合です。
日本で作業療法士の学生をしていた頃、ポジショニング(姿勢調整)やトランスファー(移乗)テクニックの訓練をした事を覚えています。
「テコの原理」を使って、なるべく自分の体に負担がかからないように、患者さんをベッドから椅子に移乗させたりする訓練です。
私が学生だったのはもう20年以上前。。。今もやってるのかな?
イギリスの介護現場は「押さない、引かない、持ち上げない、拗らない、運び上げない」が基本です。
例えばケアラーがクライアントを持ち上げてベッドから車椅子に移乗させていたりすると
Manual Hanndling Operations Regulations
Management of Health and Safety at Work Regulation
などの法律に違反し、クライアントとケアラー両方を負傷させる可能性があったとして、ケアホームのマネージャーが訴えられたりする事もあります。
基本的にケアホームは高い介護費を請求している自分達のクライアントを介護する為の道具は自分達で賄うべきというのがソーシャルサービス側の意見なのですが、介護が特に困難なクライアントがいる場合にはローン出来ます。使い回し禁止。
ケアホームがクライアントの為に常備しておくべきだと思う基本的な介護機器はホイスト(吊り型の電動リフト)とスライドシート(ベッド上でのポジショニング)。これマストアイテム。
大体どこのケアホームにもあります。
イギリスにはとても沢山の介護機器があって、私達は数ある介護機器の中から一人一人にあった介護機器を厳選しています。
基本的にイギリスの住民は、必要であれば、皆無料で自宅での介護であっても介護機器がローン出来るので、おもてなしの国日本と比べるつもりは全くありませんが、介護制度を知っていると「食のレベルもだいぶ上がってきたし。イギリスでの老後ってそんなに悪くはないんじゃないかな」と、私は思っています。
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